講義ノート

モチベーション理論12選;組織を考える上で知っておきたい行動源泉ロジック

どんな企業でも「ひと」の集まりである以上、従業員の意欲は組織活性化を左右する大きな要因です。ポテンシャルを発揮できる職場にするために知っておくべき『モチベーション』に関する理論をまとめました。各理論の詳細についてはリンク先をご参照ください。

マズローの欲求段階説;下位の欲求が満たされない限り、上位の欲求に移行しない

アブラハム・マズローが提唱した欲求段階説は、人間の動機付けを理解するための枠組みです。この理論は、人間の欲求を五つの階層に分けています。基本的な生理的欲求(食事、睡眠など)から始まり、安全の欲求、社会的欲求(愛情、所属感)、承認の欲求(自尊心、他者からの評価)、そして最上位に自己実現の欲求があります。マズローは、下位の欲求が満たされない限り、人は上位の欲求に移行しないと主張しました。この理論は、個人のモチベーションや行動を理解する上で広く用いられています。

アルダファーのERG理論;欲求は静的な階層ではなく、より柔軟に相互作用する

クレイトン・アルダファーのERG理論は、マズローの欲求段階説を再構築したものです。この理論は、人間の基本的な欲求を存在(Existence)、関連(Relatedness)、成長(Growth)の三つに分類します。存在の欲求は生理的および安全の欲求を、関連の欲求は社会的関係や他者との交流を、成長の欲求は個人の内面的成長や自己実現を指します。ERG理論は、マズローの理論よりも柔軟で、異なる欲求が同時に存在し、また逆戻りすることもあると考えます。

ブルームの期待理論;正しく努力すれば報われる

ビクター・ブルームの期待理論は、個人のモチベーションがその行動に対する期待とその結果に対する価値に基づいているとする理論です。この理論は三つの要素で構成されています:期待(努力が成果に結びつく確信)、器用性(その成果が報酬に結びつく確信)、報酬の魅力(報酬への個人的価値)。ブルームは、これらの要素が高いほど、個人はより強いモチベーションを持って行動すると主張しました。

ハーズバーグの二要因理論;不満を取り除くだけではモチベーションは高まらない

フレデリック・ハーズバーグの二要因理論は、職場における従業員のモチベーションを分析するためのモデルです。この理論は、モチベーション要因(仕事そのもの、達成感、認識、責任など)と衛生要因(給与、職場環境、会社方針、管理、仕事条件など)の二つに分けています。モチベーション要因は職員の満足感を高めるのに対し、衛生要因は不満を減らすのに寄与します。この理論は、単に不満を取り除くだけでは従業員のモチベーションを高めることはできないと指摘しています。

マクレガーのX理論とY理論;従業員は悲観的なXか楽観的なYか?

ダグラス・マクレガーが提唱したX理論とY理論は、管理者が従業員に対して持つ二つの根本的な見方を示しています。X理論は、従業員が本質的に仕事を嫌い、避けようとし、指導とコントロールが必要であるという悲観的な見方です。一方、Y理論は、従業員が自己実現のために仕事をし、自己管理と自己モチベーションが可能であるという楽観的な見方です。マクレガーは、Y理論に基づく管理スタイルがより効果的であると主張しました。

マクレランドの欲求理論;職業選択や成功に影響する欲求は達成、権力、帰属

デビッド・マクレランドの欲求理論は、人間の行動が主に三つの欲求によって動機付けられると考えます:達成欲求、権力欲求、帰属欲求。達成欲求は個人の成果や課題の達成に対する欲求、権力欲求は他者に影響を及ぼし、支配する欲求、帰属欲求は他者との良好な関係を築く欲求です。マクレランドは、これらの欲求の強さが個人によって異なり、それが職業選択や職業上の成功に影響を与えると考えました。

メイヨーのホーソン実験;労働者を生産の道具ではなく人間として扱う

エルトン・メイヨーが実施したホーソン実験は、職場環境が従業員の生産性に与える影響を研究した一連の実験です。この実験は、照明の強度、休憩時間、作業条件などが生産性に与える影響を調査しました。驚くべきことに、物理的な条件の変更に関わらず、生産性は一般的に向上しました。これは、従業員が注意を払われていると感じること(ホーソン効果)がモチベーションを高め、結果として生産性が向上することを示唆しています。

アージリスの未成熟・成熟理論;個人が成熟できる環境を整える

クリス・アージリスの未成熟・成熟理論は、個人の成長と職場での行動の関係を探るものです。この理論は、人が年齢と共に未成熟から成熟へと進化すると考え、成熟した人間は自立的で、主体的な判断ができ、長期的な視点を持ち、他者との深い関係を築く能力があるとします。アージリスは、多くの組織が未成熟な行動を促すような環境を作っていると批判し、成熟した従業員を育成するためには、より開放的で参加型の組織文化が必要だと主張しました。

アルバート・バンデューラの社会学習理論;行動は報酬と罰だけでは決まらない

アルバート・バンデューラによる社会学習理論は、観察、模倣、そして他者からのフィードバックを通じて学習が行われると考えます。この理論は、人々が他者の行動とその結果を観察することで、自身の行動を調整することを示唆しています。

自己決定理論;内発的動機付けによりパフォーマンスが向上

エドワード・デシとリチャード・ライアンによって提唱されたこの理論は、人間のモチベーションが主に自律性、能力、関連性の三つの基本的なニーズに基づいていると考えます。自己決定理論は、内発的モチベーション(自分自身の興味や楽しみからくる動機)と外発的モチベーション(外部からの報酬や圧力による動機)を区別し、内発的モチベーションの方が持続的で健全な行動を促すと主張します。

目標設定理論;明確で挑戦的な目標を掲げよう

エドウィン・ロックによる目標設定理論は、明確で挑戦的な目標は人を動機付け、より高いパフォーマンスを引き出すと主張します。この理論は、目標の特定性、難易度、目標に対するコミットメント、フィードバックの重要性を強調しています。

公平理論;不公平感がパフォーマンスを下げる

J.ステイシー・アダムスが提唱した公平理論は、個人が自分の入力(努力、スキルなど)とアウトプット(報酬、承認など)のバランスを、他者のそれと比較することでモチベーションが決定されると考えます。不公平感がある場合、人はモチベーションを失い、バランスを取り戻そうと行動します。

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猿樂 昌之

猿樂 昌之

猿樂事務所(同 つむぐ人たち)の代表です。金融機関向け研修での補足情報や経営の知見を発信しております。よろしければSNSをフォローください。

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