「資金繰り表」の基本ガイド;図表でわかりやすい解説と関数入りフォーマット
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資金繰り表とは
資金繰り表とは、企業の将来のキャッシュ・フロー(現金の流入と流出)を一定期間にわたり予測し、また、実績を記録する表のことです。
この表は、企業が現金不足に陥るリスクを回避し、効果的な資金管理を行うために使用されます。
勘定合って銭足らず;損益とキャッシュ・フローの違い
資金繰り表を作成するにあたっては、損益とキャッシュ・フローの違いを理解しておく必要があります。
例)商品Aを原価200円で仕入れて300円で販売した。このとき仕入先の決済条件を2パターン考える。
決済条件 | 取引 | CF | |
1. | 支払:月末締め・翌々月5日払 回収:月末締め・翌月末払 | 仕入:4月1日 販売:4月2日 | 支払:6月5日 回収:5月末日 |
2. | 支払:月末締め・翌月25日払 回収:月末締め・翌月末払 | 仕入:4月1日 販売:4月2日 | 支払:5月25日 回収:5月末日 |
上記の例では、どちらも取引日は同じですが、仕入れの支払条件が異なっています。このとき、
- 支払条件が翌々月5日払
- 支払は6月5日に対し、売上代金の回収が5月末
- 回収した売上代金をそのまま6月5日に支払うことができる
- 支払条件が翌月25日払
- 支払は5月25日に対し、売上代金の回収が5月末
- 支払をしてから回収があるので、仕入代金の支払いのための資金が別途必要
このように、損益が同じでも、決済条件によってキャッシュ・イン・フロー(CIF)とキャッシュ・アウト・フロー(COF)の発生タイミングずれることにより、必要な資金額が変わります。
資金繰り表の主な構成要素
資金繰り表には法定のフォーマットはありませんが、一般的には以下の要素で構成されます。
経常収支 | 本業の事業運営において継続的に(経常的に)発生する収支です。 |
経常外収支 | 固定資産への投資や売却など、一過性的に発生する収支です。 納税、役員賞与が含まれます。 |
財務収支 | 借入やその返済などの収支です。 |
収支合計 | 経常収支・経常外収支・財務収支の合算です。 |
前月繰越金 (前日繰越金) | 各作成単位(月・日など)における期首の現預金残高です。 前期の翌月繰越金と等しくなります。 |
翌月繰越金 (翌日繰越金) | 各作成単位(月・日など)における期末の現預金残高です。 |
つまり、収支を事業性のものと財務によるものとに分け、事業性のものはさらに繰り返し発生するか、単発的に発生するかに分けるという整理です。
資金繰り表を作成するための2つのアプローチ
資金繰り表を作成するためには2つのアプローチがあります。
直接法
実際の入出金を予測し、それにもとづいて積上げ式で作成します。
間接法
予測損益計算書と予測貸借対照表を作成し、税引前当期純利益からスタートして必要な項目を加減算することで作成します。
資金繰表を作成する2つの目的
主な資金繰り表の作成目的は大きく分けて社内管理用と銀行提出用があります。
それぞれの用途に応じた特徴を理解することは、効果的な財務管理と資金調達戦略のために重要です。
社内管理用資金繰り表
- 目的: 主に企業内部での現金流の管理と監視を目的としています。経営者や財務担当者が日々の運営資金の状況を把握し、短期的な財務計画を立てるために使用されます。
- 詳細度: 通常、社内用の資金繰り表はより詳細で、日々または週単位の現金流動を追跡します。これにより、短期的な現金不足や余剰を迅速に特定し、対応策を講じることができます。
- 柔軟性: 社内用の資金繰り表は、企業の特定のニーズや状況に合わせてカスタマイズされることが多いです。必要に応じて、さまざまなシナリオ分析や予測モデルを組み込むことができます。
- 機密性: 社内管理用の資金繰り表は、企業の財務状況に関する機密情報を含むことがあります。そのため、社内で厳格に管理されることが一般的です。
銀行への提出用資金繰り表
- 目的: 銀行や他の金融機関に提出するための資金繰り表は、主に融資の申請や信用評価のために使用されます。これにより、銀行は企業の財務健全性や返済能力を評価します。
- 標準化と一般性: 銀行向けの資金繰り表は、一般的に標準化されたフォーマットに従い、業界標準や銀行の要求に基づいて作成されます。これにより、銀行が情報を理解しやすくなります。
- 期間: 銀行向けの資金繰り表は、通常、月次、四半期ごと、または年次の現金流を示します。これは、銀行が中長期的な財務状況を評価するのに役立ちます。
- 信頼性と正確性: 銀行へ提出する資金繰り表は、高い信頼性と正確性が求められます。しばしば、監査済みの財務諸表や他の公式文書を基に作成されます。
資金繰り表のフォーマット
資金繰り表には、B/SやP/Lのような統一フォーマットはありませんが、日本政策金融公庫のWebサイトに掲載されているものをベースに作成すると良いでしょう。以下は、弊所で仮の数値を入れて作成したものです。
フォーマットのイメージ図
資金繰り表のサンプル
資金繰り表作成ツール(関数入り)
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