講義ノート

マクレランドの欲求理論;職業選択や成功に影響する欲求は達成、権力、帰属

デビッド・マクレランドの欲求理論は、人間の行動が主に三つの基本的な欲求によって動機付けられるという考えに基づいています。これらの欲求は、達成欲求(Achievement)、権力欲求(Power)、帰属欲求(Affiliation)です。マクレランドは、これらの欲求が個人の行動、特に職業上の選択や成功に大きな影響を与えると考えました。

デビッド・マクレランド

デビッド・マクレランド(1917年 – 1998年)は、アメリカの心理学者で、特に動機付けと人間のニーズに関する研究で知られています。ウェズリアン大学で学士号を取得後、ミズーリ大学で修士号、そしてイェール大学で1941年に博士号を取得しました。彼はその後、コネチカット大学とブリンマー大学で教鞭を執り、1956年からはハーバード大学の教授として心理学を教えました。マクレランドは主に人間の欲求と動機付けに関する理論で知られ、特に「達成動機理論」の開発で著名です。

マクレランドの提唱する、3つの基本的な欲求

達成欲求(Achievement):

達成欲求は、個人が優れた成果を達成しようとする欲求です。この欲求を強く持つ人々は、個人的な成果を重視し、難易度の高い目標に挑戦することを好みます。彼らはリスクを計算し、フィードバックを価値あるものと見なし、個人的な責任を負うことを望みます。彼らは通常、競争よりも自己の基準や過去の成果との比較によって自己を評価します。

権力欲求(Power):

権力欲求は、他者に影響を与え、支配することを望む欲求です。権力欲求が強い人々は、影響力を持ち、他人を指導し、ステータスや名声を追求する傾向があります。彼らはしばしばリーダーシップの役割を求め、組織やグループ内での地位を重視します。ただし、この欲求は肯定的な形(社会的影響力や指導力の追求)と否定的な形(他者の支配や競争)の両方を取ることがあります。

帰属欲求(Affiliation):

帰属欲求は、他者との良好な関係を築き、所属感を感じることを望む欲求です。この欲求を強く持つ人々は、人間関係を大切にし、協力やグループ内の調和を重視します。彼らは承認され、受け入れられることを求め、対人関係での衝突を避ける傾向があります。

マクレランドの理論は、特に職業選択や職業上の成功に関連して注目されています。

例えば、達成欲求が高い人は起業家や営業職に適している可能性があり、権力欲求が高い人はリーダーシップのポジションや管理職に適しているかもしれません。一方、帰属欲求が高い人は、チームワークや顧客サービスに関連する職業で成功する可能性があります。

この理論は、個人のモチベーションを理解し、効果的なリーダーシップ、人材管理、職業指導に応用することができます。また、個人が自身の欲求を理解し、それに合ったキャリアパスを選択するのにも役立ちます。

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猿樂 昌之

猿樂 昌之

猿樂事務所(同 つむぐ人たち)の代表です。金融機関向け研修での補足情報や経営の知見を発信しております。よろしければSNSをフォローください。

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