レヴィンのリーダーシップ論とアイオワ研究|権威主義、民主、放任
クルト・レヴィン
社会心理学、組織心理学、応用心理学など多くの分野で重要な貢献をした心理学者です。彼はドイツ生まれで、ナチスの台頭を受けてアメリカに移住しました。レヴィンは「場の理論(Field Theory)」を提唱し、人々の行動はその人自身と環境との相互作用によって決まると考えました。この理論は、個人と環境が一つの「場」を形成し、その場が行動に影響を与えるというものです。レヴィンはまた、グループダイナミクスの研究でも知られています。彼は小グループ内の力関係、リーダーシップ、意見形成などについての実験と理論構築を行いました。レヴィンの研究は、組織行動、教育、治療など多くの応用分野に影響を与えています。さらに、行動の変容や態度の変化についても研究し、特に「行動研究」の手法を用いて社会的問題に取り組むことの重要性を強調しました。彼の業績は、心理学だけでなく、経営学、教育学、社会学など、多くの学問分野に影響を与えています。
(参考)レヴィンの解凍・変革・再凍結モデル
レヴィンのリーダーシップ論
レヴィンのリーダーシップ論では、リーダーシップスタイルを3つの類型に分けます。
権威主義的 (Authoritarian) | リーダーがすべての決定を行い、部下は指示に従う。コミュニケーションは一方通行で、リーダーから部下へのみ。 |
民主的 (Democratic) | リーダーが部下の意見を尊重し、決定過程に参加させる。コミュニケーションは双方向で、グループ内の協力と協調が促進される。 |
放任主義的 (Laissez-faire) | リーダーが最小限の指導しか行わず、部下に自由を与える。リーダーは情報提供者やアドバイザーとして機能するが、積極的な指導は行わない。 |
レヴィンの理論は、リーダーシップのスタイルがグループの動機付け、満足度、生産性にどのように影響するかを理解する上で重要です。
アイオワ研究
アイオワ研究は、レヴィンが1940年代に行った一連の実験です。
子供たちのグループに対して、権威主義的、民主的、放任主義的の3つの異なるリーダーシップスタイルを適用しました。
アイオワ研究の結果
権威主義的 | 効率は高いが、創造性とグループの満足度は低い。リーダーが不在の際には生産性が低下する傾向がある。 |
民主的 | 効率はやや低いが、創造性、グループの満足度、協力が高い。リーダーが不在でも生産性が維持される。 |
放任主義的 | 最も低い効率と生産性。グループの方向性が欠け、混乱しやすい。 |
レヴィンのアイオワ研究は、リーダーシップスタイルがグループの機能とメンバーの行動に大きな影響を与えることを示しました。