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講義ノート

過程理論;スキナーのオペラント条件付けと部分強化の優位性

課程理論(コース理論)は、学習や行動変化を説明する心理学の理論の一つです。この理論は、特定の行動が強化または罰によってどのように影響を受けるかを考察します。ここで、重要な概念は「強化」と「罰」です。

過程理論の要素;強化と罰

オペラント行動

自発的な行動で、その結果によってその後の発生頻度が変化します。これは受動的に環境の刺激に反応する「古典的条件付け」とは異なります。

強化

行動を増加させる効果を持つものです。強化には二つのタイプがあります。

  • 正の強化:望ましい結果や報酬が行動に続くことで、その行動が増加するプロセスです。例えば、良い成績に対する賞賛や報酬など。
  • 負の強化:不快な刺激が取り除かれることで、その行動が増加するプロセスです。例えば、頭痛があるときに鎮痛剤を服用し、痛みが和らぐという場合です。

行動を減少させる効果を持ちます。

  • 罰の適用:望ましくない行動に続いて不快な刺激が与えられることで、その行動が減少するプロセスです。
  • 罰の除去:望ましい行動が行われないと、楽しい刺激や報酬が取り除かれることで、望ましくない行動が減少するプロセスです。

この理論は、行動主義心理学に根ざしており、特にB.F.スキナーによって発展されました。

B.F. スキナーのスキナーボックス実験;オペラント条件づけ

スキナーボックス実験の概要

  • 目的:スキナーの主な目的は、動物がどのように新しい行動を学習するかを理解することでした。特に、報酬(強化)が行動に与える影響に焦点を当てました。
  • 装置:スキナーボックスは小さな容器で、通常は鳩やラットが実験の対象とされました。この箱には、動物が操作できるレバーやボタンがあり、食物のペレットを出す装置や電気ショックを与える装置が設置されていました。
  • 実験手順

実験の手順

正の強化ラットがレバーを押すと食物ペレットが与えられる。ラットは徐々にレバーを押す行動が食物を得ることに結びつくと学習します。
負の強化例えば、箱内に不快な刺激(例えば、軽い電気ショック)が与えられ、ラットがレバーを押すことでこれを停止できる場合、ラットは電気ショックを避けるためにレバーを押す行動を学習します。
ラットが特定の行動をすると不快な刺激が与えられると、その行動を避けるようになります。

実験の意義

スキナーの実験は、動物が自分の環境に対してどのように反応し、どのようにして行動を学習するかを示しました。これはオペラント条件付けの基本的な原則を確立し、後の行動療法や教育方法、さらにはビジネス管理における報酬システムの設計に大きな影響を与えました。

スキナーは、行動が報酬や罰によって形成されるという考えを推進し、内的な思考や感情よりも外的な刺激と行動の関係に重点を置いたのです。

連続強化より部分強化が優位

  1. 連続強化
    • この方法では、目的の行動が行われるたびに強化(報酬)が与えられます。
    • 例えば、動物がトリックを行うたびにご褒美を与えるトレーニングがこれに当たります。
    • 連続強化は新しい行動を学習させるのに効果的ですが、強化が止まると行動も速やかに消える傾向があります。
  2. 部分強化
    • 一方、部分強化では、行動が行われるたびには報酬が与えられません。
    • 報酬は不定期かつ不規則に与えられます。例えば固定間隔スケジュール、変動間隔スケジュール、固定比率スケジュール、変動比率スケジュールなどがあります。
    • 部分強化の方が長期間にわたって行動を維持させるのに効果的であるとされています。
    • これは「抵抗の強化」として知られており、報酬の取りやめ後も行動が持続する傾向があります。

部分強化が優位であるとされる理由の一つは、予測不可能な報酬が動物や人間をより強く動機づけるという点です。不確実な報酬は、報酬を得ようとする努力を継続させるため、より長期的な行動変容を促します。これはギャンブルやビデオゲームの中毒性にも関係しているとされています。

部分強化の活用

組織づくり

  1. 業績に基づくボーナスシステム:従業員が目標を達成したときのみ、期待外のボーナスを提供する。この不確実性が従業員をモチベートし、継続的な努力を促します。
  2. 非定期的な表彰制度:従業員が優れた成果を上げた場合にのみ、非定期的な表彰や賞を与えることで、継続的な高いパフォーマンスを奨励します。

社員教育

  1. ランダムな評価とフィードバック:定期的な評価ではなく、不定期にフィードバックやアドバイスを提供することで、従業員が常に自己改善に励むように促します。
  2. 学習達成に対する不規則な報酬:トレーニングやスキルアップに関連する特定の成果を達成した際に、予期せぬ報酬を提供します。

マーケティング

  1. 不定期なプロモーションとセールス:消費者が次のセールや割引がいつ来るかを予測できないようにすることで、関心と期待を維持し、定期的なチェックを促します。
  2. ロイヤルティプログラムのランダムな報酬:顧客が一定の購入をするたびに報酬を得るのではなく、不定期に特典を提供することで、継続的な購入を促進します。
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猿樂 昌之

猿樂 昌之

猿樂事務所(同 つむぐ人たち)の代表です。金融機関向け研修での補足情報や経営の知見を発信しております。よろしければSNSをフォローください。

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