講義ノート

低次学習と高次学習;組織の学びを科学してマネジメントする

組織学習には「低次学習(シングルループ)」と「高次学習(ダブルループ)」があります。

低次学習組織内の問題を解決するために既存の枠組みやルールを使う
高次学習組織の基本的な枠組みやルール自体を見直し、変更することを含む

低次学習(Single-Loop Learning)

低次学習は、組織内の問題を解決するために既存の枠組みやルールを使う学習プロセスです。

これは、既存の戦略やポリシーを改善することに焦点を当てていますが、それらの根底にある仮定や価値観を問い直すことはありません。

低次学習をケースで理解

ある製造会社が製品の不良率が高いという問題に直面した場合、低次学習のアプローチでは、製造ラインの効率化や品質管理プロセスの改善など、現在の製造プロセス内での具体的な改善策を実施します。

ここでの焦点は、既存のシステム内での問題解決にあります。

高次学習(Double-Loop Learning)

高次学習では、組織の基本的な枠組みやルール自体を見直し、変更することを含みます。

これは、組織の根本的な価値観や方針を問い直し、より深いレベルでの変化をもたらすことを目指します。

高次学習をケースで理解

上記の製造会社が、不良率の問題を高次学習でアプローチする場合、単に製造プロセスを見直すだけでなく、製品設計の基本的な方針や企業文化、市場戦略など、より広範な視点から問題の原因を探ります。

例えば、市場の変化に応じて製品ラインを根本的に見直し、より顧客志向のアプローチを取り入れることが挙げられます。

これらの学習の違いは、問題解決のスコープと深さにあります。

低次学習は、既存の枠組みの中で効率や効果を高めることに重点を置き、高次学習は組織の根本的な変革を目指します。

猿樂 昌之

猿樂 昌之

金融機関向け研修の講師です。三井住友銀行、プルデンシャル生命保険を経て独立。中小企業診断士R6合格。執筆ジャンル:金融・営業・経営・財務・人材育成など。

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