8段階の変革プロセス(ジョン.P.コッター)を分かりやすく解説(事例つき)!他の変革理論との比較も
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8段階の変革プロセスの全体像
変革は組織の成長において、避けては通れない大切なステップです。
その実施方法としてよく知られているのが、8段階の変革プロセスの概念で、ジョン.P.コッターにより提唱されました。
ジョン.P.コッターについて
ジョン.P.コッター
組織変革とリーダーシップについての著名な理論を提唱した世界的に有名な思想家、講師、作家です。ハーバードビジネススクールの名誉教授であり、他にも多くの賞を獲得しています。
1947年2月にアメリカ合衆国ネバダで生まれます。彼はハーバード大学の助教授としてキャリアをスタートし、その後、1972年に同大学のビジネススクール教授に就任し、2001年まで教授を務めるとともに、多くの理論を世に送り出しました。彼の仕事は、組織行動、リーダーシップ、および変革に重点を置いていて、このフィールドで大いに貢献します。退任後も彼は著名な講師として活動を続けており、特にコッターインターナショナルという組織を通して、その理論と手法を広めています。
8つのつまづきの石
大規模な変革が進まないのは、8つの「つまずきの石」が原因であるとされています。
1.内向きな企業文化 |
2.官僚主義 |
3.社内派閥 |
4.相互の信頼感の欠如 |
5.不活発なチームワーク |
6.社内外に対しての傲慢な態度 |
7.中間管理層のリーダーシップの欠如 |
8.不確実に対する恐れ |
これらを克服するために、8段階の変革プロセスを踏んでいく必要があるのです。
8段階の変革プロセスとは
8段階の変革プロセスとは、鮮明なビジョン設定からスタートし、そのビジョンに基づいた戦略立案、チーム作り・組織体制の再編、進行・評価・調整と進み、最終的な成果を固定化するまでを含む一連の流れを8つのステップに分けたものです。
1.危機意識を高める |
2.変革推進のための連帯チームを築く |
3.ビジョンと戦略を生み出す |
4.変革のためのビジョンを周知徹底する |
5.従業員の自発を促す |
6.短期的成果を実現する |
7.成果を活かして、さらなる変革を推進する |
8.新しい方法を企業文化に定着させる |
各段階は直線的に進むだけでなく、往復しながら進行することも可能であり、組織内部外部からの様々なフィードバックを取り入れることができる柔軟性を持っています。
8段階の変革プロセスの目的と意義
8段階の変革プロセスの目的は、組織をより効果的、効率的に運営し、持続可能な成長を達成することです。
また、単に目標を達成するだけでなく、組織全体の思考行動パターンを変え、新たな価値観や原則を堅固に根付かせ、組織の持続可能な成長を支える文化を創出することにあります。
各段階の特徴と重要性
各段階の特徴と重要性を理解することで、適切なアクションを適切なタイミングで行うことができます。
第1段階では、危機を明示し、変革の必要性を認識させることが大切です。
第2段階では強力なリーダーシップチームを作り上げ、共有ビジョンを創出します。
第3段階ではビジョンと戦略を明確に定義し、
第4段階では人々にコミュニケーションを通じてビジョンを理解し、支持させます。
第5段階では障害を克服し、
第6段階では、短期的な勝利を祝ってモチベーションを高めます。
第7段階では変革を進行・評価・調整し、
最後の8段階では成果を固定化し、新たな文化とすることで、変革を持続可能にするのです。
8段階の変革プロセスの事例的ストーリー
ジョン・P・コッターの変革の8段階のプロセスを事例風にしてみました。
ケース:クラウドバックオフィス系システムの社内導入
1.危機意識を高める
田中社長は、経理の処理遅延と営業の経費精算問題を解決するため、クラウドバックオフィスシステムの導入を提案しました。彼はこれらの問題が会社の成長を妨げていると全社員に説明し、変革の必要性を強調しました。
2.変革推進のための連帯チームを築く
田中社長は、鈴木経理部長を含む、変革をサポートするキーメンバーで構成されるチームを結成しました。このチームは、新システムの導入と社内での展開を監督する責任がありました。
3.ビジョンと戦略を生み出す
チームは、業務効率化とエラー削減を目指す明確なビジョンを作成し、それを実現するための具体的なステップを計画しました。このビジョンは、社員の作業負荷を減らし、顧客サービスを改善することに焦点を当てていました。
4.変革のためのビジョンを周知徹底する
田中社長は、社内ミーティングやメールで、新システムの利点と変革のビジョンを従業員に伝えました。鈴木経理部長は、経理部のスタッフに直接トレーニングを行い、質問に答えました。
5.従業員の自発を促す
しかし、渡辺営業部長は新システムに懐疑的でした。田中社長は彼の懸念を聞き、システムがどのように営業の効率を向上させるかを示し、支持を得ました。
6.短期的成果を実現する
新システムがもたらす初期の成功は、特に経費精算処理の迅速化において、社内の多くの人々によって認識されました。これにより、変革に対する更なる支持が得られました。
7.成果を活かして、さらなる変革を推進する
田中社長とチームは、初期の勝利に満足することなく、システムの改善と拡張を続け、更なる効率化と自動化を実現しました。
8.新しい方法を企業文化に定着させる
最終的に、新しいクラウドバックオフィスシステムは、会社の運営の核となりました。従業員は新しいプロセスを受け入れ、それが会社の新しい方法として確立されました。田中社長は、この変革が会社にとっての新たな一歩であることを強調しました。
8段階の変革プロセスと他の変革理論との比較
8段階の変革プロセスを、レヴィンの解凍・変更・再凍結モデル、ADKARモデルと比較します。
レヴィンの解凍・変更・再凍結モデルとの比較
レヴィンの解凍・変更・再凍結モデルは、社会心理学者カート・レヴィンによって提唱され、組織変革のプロセスを3つのステップで表現したものです。
このモデルは変革を「解凍」、「変革」、「再凍結」の3つの段階で捉え、従来の価値観や行動様式を止め「解凍」し、新たなものを学び取る「変革」、それが定着する「再凍結」と進めるというシンプルな考え方を採用しています。
対照的に、8段階の変革プロセスは、より具体的な活動と期待される結果に分けられ、ステップごとに明確なガイドラインが定められています。これは、組織内の混乱を軽減し、実行可能な行動計画を立てるために有効な手法であると言えます。
ADKARモデルとの比較
ADKARモデルは変革を‘Awareness(認識)’,’Desire(欲求)’,’Knowledge(知識)’,’Ability(能力)’,’Reinforcement(強化)’の5つの要素で見る理論です。このモデルでは、個々の要素が変革に重要とし、ステップごとに変革が生じ、それだけでなく個々の変革の実現可能性も評価します。
それに対して、8段階の変革プロセスは組織全体の変革を、一連の画一的な段階で見る視点を持ちます。また、個々の段階の具体的な行動や結果は明確に定義されるため、変革の進行と結果を評価する上でも利点があります。
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