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講義ノート

ノンリコースローン概論|貸し手・借り手のメリットとデメリットは

ノンリコースローン(Non-Recourse Loan)について、貸し手と借り手の両方の観点からメリットとデメリットを説明し、具体的な活用シーンについても触れます。

ノンリコースローンとは

ノンリコース(=遡及しない)ローンとは、融資対象となるプロジェクトのキャッシュフローおよび事業資産の売却代わり金のみを返済原資とするローンの形態です。また、当該プロジェクトに関連する事業資産以外には担保権も及ばないのが通常です。つまり、借り手が返済不能になった場合、貸し手は担保となっている事業資産を差し押さえることはできますが、それ以外の借り手の資産に対しては差し押さえその他、担保権の実行はできません。

尚、日本国内における通常の資金調達(銀行、信用金庫など)においては、融資対象となるプロジェクトではなく、借り手企業(コーポレート)に対して資金が提供されていると考えます。したがって、融資対象プロジェクトが頓挫した場合でも、貸し手である金融機関は借り手企業全体のキャッシュフローから返済を受け、またプロジェクトに直接関連性のない事業資産も担保として受け入れることが一般的です。

ノンリコースローンにおける借り手のメリットとデメリット

メリットデメリット
リスクの限定: 借り手は、ローンに対して担保となる資産以外のリスクを負わない。返済不能になった場合でも、他の資産は安全です。
大規模な投資機会: 特に不動産投資などで、大きなプロジェクトに参加する機会を提供します。
高い利息率: リスクが高いため、通常のローンよりも高い利息を支払う必要があります。
厳しい条件: 貸し手はリスクを最小限に抑えるため、より厳しい貸付条件を設定することがあります

ノンリコースローンにおける貸し手のメリットとデメリット

メリットデメリット
高利回り: リスクが高い分、高い利息を得ることができます。
担保の価値: 質の高い担保を確保することで、リスクをある程度管理できます。
回収リスク: 借り手がデフォルトになった場合、担保の価値がローン額を下回るリスクがあります。
複雑な事務と期中管理: 分厚い契約書となり、プロジェクト単位での管理が必要なため、専門部署が設置されることが一般的です。

ノンリコースローンの具体的な活用シーン

ノンリコースローンは、特にハイリスク・ハイリターンな投資やプロジェクトに活用されることが多いです。以下にいくつかの具体例を挙げます。

1. 不動産開発プロジェクト

  • シナリオ: 投資家や開発者が大規模な商業施設や住宅開発プロジェクトに投資する場合。
  • 使用例: プロジェクトの資金調達のためにノンリコースローンを利用し、プロジェクトが失敗した場合でも、投資家の他の資産は保護されます。

2. 再生可能エネルギープロジェクト

  • シナリオ: 太陽光発電所や風力発電所などの再生可能エネルギープロジェクトの設立。
  • 使用例: プロジェクトの初期投資にノンリコースローンを使用し、プロジェクトが期待通りの収益を生まなかった場合、投資家のリスクを限定します。

3. エンターテイメントプロジェクト

  • シナリオ: 高額な予算が必要な映画やエンターテイメントプロジェクト。
  • 使用例: プロジェクトの収益権を担保にしてノンリコースローンを利用し、プロジェクトが商業的に成功しなかった場合のリスクを制限します。

これらの例では、ノンリコースローンがリスクの高い投資やプロジェクトにおいて、投資家や開発者が自身の他の資産を保護するための手段として利用されています。しかし、これらのローンは通常、高い利息率や厳しい条件が伴うため、利用する際には慎重な検討が必要です。

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猿樂 昌之

猿樂 昌之

猿樂事務所(同 つむぐ人たち)の代表です。金融機関向け研修での補足情報や経営の知見を発信しております。よろしければSNSをフォローください。

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