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講義ノート

ハーズバーグの二要因理論|ハイジーン要因を充足し、モチベーターを取り入れる

ハーズバーグの二要因理論は、職場のモチベーションに関する重要な理論で、人々の仕事に対する満足度がどのように形成されるかを説明します。この理論は、フレデリック・ハーズバーグによって1950年代後半に提唱されました。

フレデリック・ハーズバーグ

フレデリック・ハーズバーグ(1923年4月18日 – 2000年1月19日)は、アメリカの著名な心理学者で、ビジネスマネジメントの分野におけるモチベーション理論で最もよく知られています。彼の最も有名な業績は、「ハイジーン-モチベーション理論」または「二要因理論」として知られる、職場のモチベーションに関する研究です。

ハーズバーグはニューヨークで生まれ、高等教育を受けた後、第二次世界大戦中にアメリカ陸軍で勤務しました。戦後、彼は公衆衛生の学位を取得し、その後、ケース・ウェスタン・リザーブ大学で心理学の博士号を取得しました。彼はピッツバーグ大学で教鞭をとり、その後、ユタ大学の教授となりました。

彼の二要因理論は、1950年代に行われた一連の研究に基づいており、職場の満足と不満足がどのようにして従業員のモチベーションとパフォーマンスに影響を与えるかを理解するための基礎を築きました。ハーズバーグの理論と研究は、現代のマネジメント実践と従業員のモチベーション戦略に大きな影響を与えています。

職場のハイジーン要因とモチベーターとは

ハーズバーグは、職場の要因を「ハイジーン要因」と「モチベーター」の2つに分類しました。

ハイジーン要因

これらは職場の基本的な要素であり、給与、企業のポリシー、監督者との関係、作業条件、安全性などが含まれます。

これらの要因が不十分または欠如していると、従業員は不満を感じますが、これらが適切に提供されていても、従業員を強くモチベートするわけではありません。

つまり、これらは不満を取り除くのに必要ですが、積極的な満足を生み出すものではありません。

モチベーター

これらは仕事の充実感や達成感に直接関連する要素で、業績承認、責任、昇進の機会、成長と学習の機会などが含まれます。

これらの要因が存在すると、従業員は仕事に対して高い満足感とモチベーションを感じ、生産性が向上します。

ハーズバーグの二要因理論の結論

この理論の重要な点は、ハイジーン要因が不十分な場合、それが従業員の不満を引き起こす一方で、モチベーターが従業員の満足感やモチベーションを高めるということです。

したがって、組織は、ハイジーン要因を適切に管理し、同時に従業員にモチベーションを与える機会を提供する必要があります。これにより、従業員はより満足し、組織全体の効率と生産性が向上します。

ハーズバーグの二要因理論の具体的ケース

ハーズバーグの二要因理論についてより理解を深めていただくため、事例風にしました。

会社名: 「テックフューチャー株式会社」

ハイジーン要因のシナリオ

  • 給与: 従業員は市場平均を下回る給与を受け取っており、これが生活費の支払いに影響を与え始めています。
  • 作業条件: オフィスは古く、一部のデスクや椅子は壊れています。また、冷暖房設備が不十分で、夏は非常に暑く、冬は寒い。
  • 企業のポリシー: 休暇の取得が難しく、残業が多い。また、病気で休む際の方針が不明確で、従業員がストレスを感じています。

この状況での影響
従業員は不満を感じ、モチベーションが低下しています。出勤率が低下し、生産性も落ちています。この状態では、従業員が会社に長く留まることは期待できません。

モチベーターのシナリオ

  • 業績承認: 「テックフューチャー株式会社」は、プロジェクトが成功した際に従業員を表彰する月次のセレモニーを実施しています。
  • 責任と昇進: 従業員は自分のスキルに応じて新しいプロジェクトや役職に任命され、キャリア成長の機会が与えられます。
  • 学習の機会: 会社は定期的なトレーニングセッションや資格取得のための援助を提供し、従業員のスキル向上をサポートしています。

この状況での影響
従業員は仕事に対する情熱を感じ、会社の目標達成に積極的に参加します。彼らは自分の仕事に誇りを持ち、会社に対するロイヤリティが高まります。生産性と創造性が向上し、会社全体のパフォーマンスが向上します。

この例から、ハイジーン要因が不十分だと従業員の不満が高まり、会社全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすことがわかります。一方で、モチベーターが提供されると、従業員の満足度とモチベーションが高まり、ポジティブな影響が生じます。

したがって、「テックフューチャー株式会社」は、ハイジーン要因を改善し、同時にモチベーターを強化することで、従業員の満足度と会社の成功を高めることができます。

ハイジーン要因が不十分なままで、モチベーターだけが提供される場合は?

もしハイジーン要因が不十分なままで、モチベーターだけが提供される場合、以下のような状況が発生する可能性があります:

  1. 限定的な効果: モチベーター(例えば、仕事の成果に対する賞賛やキャリア成長の機会)が存在すると、従業員は一時的にモチベートされるかもしれません。しかし、基本的なハイジーン要因(安全な労働環境、適切な給与、公平な管理政策など)が欠けていると、このモチベーションは長続きしない可能性が高いです。
  2. 不満の継続: 従業員は、ハイジーン要因の問題(例えば、過度の労働時間、不十分な福利厚生、不適切な労働条件など)が解決されない限り、不満やストレスを感じ続けるでしょう。これは、従業員の総合的な満足度や会社へのコミットメントに悪影響を及ぼす可能性があります。
  3. 高い離職率: 従業員が基本的なニーズや期待を満たされない場合、彼らは他の機会を求めて組織を去る可能性があります。これは、特にスキルが高く市場での需要が高い従業員の場合に顕著です。
  4. 生産性の低下: 不満が続くと、従業員の生産性が低下し、仕事の質が落ちる可能性があります。これは、組織全体のパフォーマンスに影響を及ぼす可能性があります。

したがって、ハーズバーグの理論は、ハイジーン要因の改善なしにモチベーターのみを提供することは、長期的には従業員の満足度やモチベーションを維持するのに十分ではないと提唱しています。

組織は、従業員の基本的なニーズを満たすためのハイジーン要因と、従業員を刺激し成長させるためのモチベーターの両方に注力する必要があります。

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猿樂 昌之

猿樂 昌之

猿樂事務所(同 つむぐ人たち)の代表です。金融機関向け研修での補足情報や経営の知見を発信しております。よろしければSNSをフォローください。

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